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公益通報者保護法が2026年12月1日に改正施行|300人以下の事業者にも関係する4つの変更点

執筆者の写真: NANGO
NANGO
10月18日
読了時間: 7分

更新日:3 日前

公益通報者保護法の改正法が、2026年12月1日に施行されます。

「うちは小さい会社だから関係ない」と思われがちな法律ですが、今回の改正には、企業規模にかかわらずすべての事業者に関係する内容も含まれています。

特に、公益通報を妨げる行為の禁止や、通報を理由とする解雇・懲戒への罰則の新設など、通報者の保護が強化されます。

今回は、制度の基本的な仕組みを確認したうえで、改正の4つのポイントと、事業者が準備しておきたい事項を整理します。


そもそも、公益通報者保護法とは

公益通報者保護法は、勤め先などの法令違反に気づいた人が、どこへ、どのような内容の通報を行えば、解雇などの不利益な取扱いから保護されるのかを定めた法律です。

保護の対象となる「公益通報」は、労働者、派遣労働者、退職者、役員、フリーランスなどが、不正の目的ではなく、勤務先や取引先の不正行為を通報することを指します。

対象となるのは、国民の生命、身体、財産などの保護に関わる約500本の法律に規定された、犯罪行為や過料の対象となる行為、または最終的に刑罰や過料につながる行為です。

すべての法律違反や社内規程違反が、当然に公益通報者保護法の対象となるわけではありません。


通報先は3つに分かれます

公益通報者保護法では、通報先によって保護されるための条件が異なります。

① 事業者への内部通報

不正があると思うことが基本的な条件です。

② 行政機関への通報

不正があると信じるに足りる相当の理由があることが原則です。

ただし、不正があると思い、氏名などの必要事項を記載した書面を提出する場合にも、保護の対象となります。

③ 報道機関などへの通報

不正があると信じるに足りる相当の理由に加えて、内部通報では不利益な取扱いを受けると信じる相当な理由がある場合など、追加の条件が必要です。

公益通報を理由とする解雇やその他の不利益な取扱いは禁止されており、事業者が公益通報を理由として通報者に損害賠償を請求することも制限されています。

また、常時使用する労働者が300人を超える事業者には、内部通報の受付や調査を担当する従事者の指定、窓口の設置、内部規程の整備などが義務づけられています。

300人以下の事業者については、これらの体制整備は努力義務です。


今回の改正で変わる4つのこと

今回の改正は、近年の事業者による公益通報への対応状況や、国内外の制度の動向などを踏まえたものです。

主な変更点は、次の4つです。


① 体制整備の実効性を高める(従業員300人超の事業者)

常時使用する労働者が300人を超える事業者には、公益通報に適切に対応するための体制整備が義務づけられています。

今回の改正では、特に内部通報の受付や調査などを担当する「従事者」の指定義務について、行政の権限が強化されます。

従事者の指定義務に違反した事業者に対しては、これまでの助言・指導、勧告に加え、勧告に従わない場合の命令が可能になります。

命令に違反した場合には、30万円以下の罰金が科され、法人にも罰則が適用される両罰規定が設けられます。

また、従事者指定義務に違反している事業者に対して、従来の報告徴収に加え、立入検査の権限が新設されます。

報告をしない、虚偽の報告をする、立入検査を拒むといった行為についても、30万円以下の罰金が設けられます。


② 通報者の範囲が広がる

今回の改正では、公益通報者として保護される対象に、事業者と業務委託関係にあるフリーランスが加わります。

また、業務委託関係が終了してから1年以内のフリーランスも対象になります。

これに伴い、公益通報を理由として業務委託契約を解除したり、取引を停止したりするなどの不利益な取扱いも禁止されます。

フリーランスを活用している事業者にとっても、関係のある改正です。


③ 通報を妨げる行為が禁止される

事業者が正当な理由なく、公益通報を妨げる行為をすることが禁止されます。

例えば、従業員などに対して「公益通報をしない」という合意を求めることなどが該当します。

このような禁止に違反して結ばれた合意などは、法律上無効になります。

また、正当な理由なく、公益通報者を特定することを目的とした行為も禁止されます。

つまり、通報をさせないための約束を取り付けたり、誰が通報したのかを探し出したりすることが問題となります。

これは内部通報制度の整備義務とは別の規制であり、従業員数が300人以下の事業者にも関係します。


④ 不利益な取扱いへの歯止めが強まる

今回の改正では、公益通報を理由とする解雇や懲戒について、通報者の保護がさらに強化されます。

公益通報から1年以内に行われた解雇や懲戒は、公益通報を理由として行われたものと推定されます。

これは民事訴訟における立証責任を転換する仕組みです。

事業者が解雇や懲戒を行った場合、公益通報を理由とするものではないことについて、会社側が立証する必要があります。

なお、外部通報の場合で、事業者がその通報を知って解雇や懲戒を行ったときは、事業者が通報を知った日から1年以内が対象になります。

さらに、公益通報を理由として労働者を解雇・懲戒した者に対する直接の刑事罰も新設されます。


  • 個人:6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

  • 法人:3,000万円以下の罰金


通報を理由とする不利益な取扱いは、これまでも禁止されていました。

今回の改正では、解雇・懲戒について立証責任の転換と刑事罰が設けられることで、違反行為の抑止と通報者の救済が強化されます。


300人以下の事業者も、ここは関係します

「うちは300人以下だから、内部通報制度の体制整備は努力義務」という点は、今回の改正でも変わりません。

しかし、体制整備が努力義務であることと、公益通報者保護法の規制を受けないことは別です。

今回の改正では、企業規模にかかわらず関係する内容があります。


  • ② フリーランスの保護: 業務委託関係にあるフリーランスや、契約終了後1年以内のフリーランスに保護が広がります。

  • ③ 通報妨害・通報者探索の禁止: 正当な理由のない通報妨害や通報者を特定するための行為が禁止され、禁止に違反する合意などは無効となります。

  • ④ 不利益な取扱いへの規制強化: 公益通報を理由とする解雇・懲戒について、立証責任の転換や直接の刑事罰が導入されます。



国の指針も改正されます

公益通報者保護法の改正に合わせて、事業者が講ずべき措置を定めた国の法定指針も改正されます。

今回の指針改正では、従業員などに周知すべき公益通報対応体制の具体的な内容が、より明確になりました。

具体的には、次のような事項です。


  • 内部通報の受付窓口と連絡方法

  • 調査時などにおける利益相反の排除

  • 通報を理由とする不利益な取扱いの防止措置

  • 通報妨害を防止するための措置

  • 通報者を特定する行為を防止するための措置

  • 調査への協力に関する事項


これまでの不利益な取扱いの防止措置に加えて、通報を妨げる行為や、通報者を探し出す行為を防止するための措置も明確にされています。

また、保護対象の拡大に伴い、業務委託関係にあるフリーランスや、委託関係が終了して1年以内のフリーランスに対しても、労働者などと同様に受付窓口を周知することなどが示されています。

内部通報制度は、窓口を設けるだけでは十分に機能しません。

通報する人が不利益な取扱いを恐れずに利用できるよう、制度の内容と通報者保護の仕組みを周知することが重要です。


まとめ

2026年12月1日施行の公益通報者保護法改正では、体制整備の実効性の向上、フリーランスへの保護の拡大、通報妨害・通報者探索の禁止、不利益な取扱いに対する規制の強化が行われます。

特に注意したいのは、従業員300人以下の事業者であっても、今回の改正と無関係ではないという点です。

内部通報制度の体制整備が努力義務であることを理由に、通報を妨げたり、通報者を探したり、通報を理由として不利益な取扱いをしたりすることは認められません。

また、公益通報を理由とする解雇や懲戒については、立証責任の転換や直接の刑事罰が新設されます。

内部通報制度は、不正行為を早期に発見し、是正するための仕組みでもあります。

会社の規模にかかわらず、公益通報者保護法の基本的なルールと今回の改正内容を理解しておくことが重要です。


参考資料

消費者庁「公益通報者保護制度」

消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要・令和7年改正の概要」

消費者庁「はじめての公益通報者保護法」(内部通報制度導入支援キット)

消費者庁パンフレット「~内部通報制度を導入しましょう!~事業者の皆様へ」(改正法準拠版・2026年6月時点)

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