子の看護等休暇で確認しておきたい就業規則と運用|Q&A保存版①
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改正後の制度内容と、実務で迷いやすい点を整理する
2025年4月から、「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」に変わりました。
今回の改正は、制度名が変わっただけではありません。
対象となる子の範囲は小学校3年生修了までに広がり、取得理由として、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園式・入学式・卒園式への参加が加わりました。
また、これまで労使協定で除外できた「継続雇用期間6か月未満の労働者」について、除外の仕組みが廃止されています。
この記事では、子の看護等休暇について、改正後の制度内容と、就業規則・労使協定・実務対応で迷いやすい点をQ&A形式で整理します。
なお、この記事は、実務で迷いやすい点にできるだけ答えられるよう、やや長めのQ&A形式で整理しています。
最初からすべてを読むというより、本文で全体像を確認しながら、気になる項目や該当しそうなQ&Aを拾って読んでいただく形を想定しています。
1 「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」へ
従来の制度名は「子の看護休暇」でした。
2025年4月1日以降は、「子の看護等休暇」となっています。
ポイントは、「等」が加わったことで、制度の対象が「看護」だけではなくなったことです。
Q 「等」がついただけで、何が変わったのですか。
取得できる場面が、看護以外にも広がりました。
従来の病気やけがの看護、予防接種、健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等による子の世話や、入園式・入学式・卒園式への参加も対象になっています。
名称変更は小さく見えますが、就業規則や申出対応で確認すべき範囲は広がっています。
2 今回の改正で変わったこと
今回の改正では、対象となる子の範囲と、休暇を使える場面が広がりました。
対象は、これまでの小学校就学前から、小学校3年生修了までに拡大されています。
取得理由も、病気やけがの看護、予防接種、健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園式・入学式・卒園式への参加まで広がりました。
一方で、実務上見落としやすいのは、対象者の除外に関する変更です。
継続雇用期間6か月未満の労働者を、労使協定で除外する仕組みは廃止されています。
そのため、入社して間もない労働者でも、要件を満たせば子の看護等休暇の対象になります。
Q 今回の改正で、一番見落としやすい点はどこですか。
継続雇用期間6か月未満の労働者を除外できなくなった点です。
対象となる子の範囲や取得理由の拡大は目立ちます。
一方で、実務上は、入社して間もない労働者についても、要件を満たせば子の看護等休暇の対象になる点を見落としやすいです。
「まだ入社したばかりだから対象外」という扱いはできません。
Q 週1日・週2日勤務の労働者も対象になりますか。
労使協定で除外していない場合は、対象になる可能性があります。
今回の改正で、継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する仕組みは廃止されました。
一方で、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定があれば除外できます。
ここは就業規則に書くだけでは足りず、労使協定が必要です。
3 対象となる子の範囲
改正後の対象は、小学校3年生修了までの子です。
改正前は小学校就学前までだったため、小学校に入った後の低学年の子は対象外でした。
今回の改正により、小学校低学年の子を養育する労働者も、子の看護等休暇を取得できるようになっています。
Q 「小学校3年生修了まで」とは、具体的にいつまでですか。
小学校第3学年修了までです。
具体的には、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの子が対象となります。
Q 小学校4年生の子は対象になりますか。
法定の子の看護等休暇の対象は、小学校3年生修了までです。
そのため、小学校4年生以降の子については、法定の子の看護等休暇の対象にはなりません。
ただし、会社が独自に対象を広げることは可能です。
その場合は、法定制度なのか、会社独自の上乗せ制度なのかを分けて整理しておく必要があります。
4 取得できる理由
子の看護等休暇を取得できる理由は、主に4つです。
子が病気やけがをしたときの世話。
子に予防接種や健康診断を受けさせること。
感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話。
子の入園式、入学式、卒園式への参加。
前の2つは、従来から認められていた理由です。
後の2つは、今回の改正で追加された理由です。
特に、学級閉鎖等と行事参加は、実務上の誤解が起こりやすいところです。
Q 子ども本人が感染症にかかっていなくても、学級閉鎖なら対象になりますか。
対象になり得ます。
感染症に伴う学級閉鎖等によって子の世話が必要になった場合は、子本人が感染していなくても、子の看護等休暇の対象になります。
「本人が病気かどうか」だけで判断するのではなく、学級閉鎖等によって子の世話が必要になっているかを見ます。
Q 入学式は対象になりますか。
対象になります。
入園式、入学式、卒園式への参加は、子の看護等休暇の取得理由に含まれます。
Q 卒業式は対象になりますか。
法定の子の看護等休暇として当然に対象となるかは、整理して考える必要があります。
今回追加された取得理由として中心になるのは、入園式、入学式、卒園式への参加です。
卒業式を対象に含める場合は、会社独自の上乗せとして整理しておく方が分かりやすくなります。
Q 運動会や授業参観も対象になりますか。
法定の子の看護等休暇として当然に対象となるものではありません。
今回追加された行事参加は、入園式、入学式、卒園式などの式典参加です。
授業参観、運動会、遠足、保護者会などを認める場合は、会社独自の上乗せ制度として整理する必要があります。
法定休暇として扱うのか、会社独自の特別休暇として扱うのかを分けておくと、制度説明もしやすくなります。
5 取得できる日数
子の看護等休暇の日数は、1年度において、対象となる子が1人の場合は5日、2人以上の場合は10日が限度です。
子の人数に応じて無制限に増える制度ではありません。
年度の起算日は、就業規則で定めておく必要があります。
Q 子が3人いる場合は15日になりますか。
なりません。
法定では、対象となる子が2人以上の場合の上限は10日です。
子が2人でも3人でも、法定上の上限は10日です。
Q 年度はいつからいつまでですか。
就業規則で定めます。
モデル条文では、4月1日から翌年3月31日までを1年度とする例が示されています。
実務上は、年次有給休暇や他の休暇管理との整合性を見て決める必要があります。
6 時間単位取得
子の看護等休暇は、1日単位だけでなく、1時間単位で取得できます。
始業時刻から数時間だけ取得する、終業時刻前の数時間だけ取得する、といった使い方が想定されます。
ただし、時間単位取得では、1日分を何時間としてカウントするか、短時間勤務者やシフト制労働者をどう管理するかを整理しておく必要があります。
Q 1時間単位で取得できますか。
できます。
子の看護等休暇は、1時間単位で取得可能です。
ただし、業務の性質上、時間単位取得が困難と認められる業務については、労使協定により、時間単位取得の対象から除外できる場合があります。
Q 1時間単位で取得する場合、1日分は何時間としてカウントしますか。
各労働者の所定労働時間を基準にします。
1日の所定労働時間が固定されている場合は、その労働者の1日の所定労働時間数が1日分の基準になります。
1時間に満たない端数がある場合は、切り上げます。
たとえば、1日の所定労働時間が7時間30分の場合、8時間分の休暇で「1日分」を消化したものとして扱います。
Q パートタイム労働者で、1日の労働時間が日によって違う場合はどう計算しますか。
1日単位で取得する場合は、その日の所定労働時間分を休んだことをもって、「1日分」とみなす方法が考えられます。
たとえば、ある日は4時間勤務、別の日は6時間勤務という場合でも、その日の所定労働時間を休めば、残日数は同じく「1日」減る形です。
この方法であれば、勤務時間が長い日に取得した場合でも、短い日に取得した場合でも、日数管理としては同じ1日として扱うことができます。
7 中抜けの整理
時間単位取得と中抜けは、分けて整理する必要があります。
法律上、事業主に義務付けられている時間単位取得は、原則として、始業時刻から連続する時間、または終業時刻まで連続する時間での取得です。
一方、勤務時間の途中で抜けて、その後また勤務に戻る形は中抜けです。
中抜けは、法律上当然に義務付けられているものではありません。
ただし、会社が独自に中抜けを認めることは可能です。
運用上大きな支障がないのであれば、中抜けを認めることは、労働者にとって制度を使いやすくし、働きやすさにもつながります。
認める場合は、就業規則や運用ルールに明記しておくと整理しやすくなります。
Q 中抜けも必ず認めなければならないのですか。
必ず認めなければならないわけではありません。
法律上義務付けられている時間単位取得は、原則として、始業時刻から連続する時間、または終業時刻まで連続する時間です。
たとえば、9時から17時勤務の場合、9時から11時まで取得して11時に出勤する、または15時から17時まで取得して15時に退勤するような形です。
一方、13時から15時まで勤務時間の途中で抜け、その後また勤務に戻るような形は中抜けです。
これは法律上当然の義務ではありません。
ただし、運用上問題がないのであれば、会社として認めることは可能です。
中抜けを認めることで、労働者は必要な時間だけ休暇を使いやすくなります。
会社にとっても、1日休まれるより、途中で戻って勤務してもらえる方が調整しやすい場合があります。
事業場の実情に応じて、認める範囲や申出方法を決めておくことが望ましいです。
Q 中抜けを認める場合、何を決めておくべきですか。
少なくとも、申出方法、取得できる時間帯、勤怠管理の方法を決めておく必要があります。
たとえば、事前に分かる場合は早めに申し出てもらう。
勤務途中で抜ける時間と戻る時間を明確にする。
休憩時間と重なる場合の扱いを整理する。
このようなルールを決めておくと、労働者側も会社側も運用しやすくなります。
Q すでに中抜けを認めている会社が、改正を機に中抜けなしへ変えることはできますか。
慎重に考える必要があります。
すでに会社独自の運用として中抜けを認めている場合、それを縮小すると、労働条件の不利益変更と評価されるリスクがあります。
法改正対応を理由に、既存の制度を労働者に不利な方向へ狭める場合は注意が必要です。
8 休憩時間をまたぐ場合の時間計算
時間単位で子の看護等休暇を取得する場合、休憩時間は休暇時間に含めません。
休憩時間は、もともと労働義務のない時間だからです。
そのため、休暇の申出時間に休憩時間が含まれる場合は、休憩時間を除いてカウントします。
Q 11時から14時まで休んだら、3時間消化ですか。
休憩時間を含む場合は、3時間とは限りません。
たとえば、12時から13時が休憩時間であれば、その1時間は休暇時間に含めません。
この場合、子の看護等休暇としてカウントするのは2時間です。
Q この処理で注意することはありますか。
勤怠管理と給与計算で、休憩時間を含めて控除しないようにすることです。
時間単位取得では、1時間単位の管理だけでなく、休憩時間をまたぐ場合の処理も決めておく必要があります。
9 短時間勤務者・パートタイム労働者の時間管理
短時間勤務者やパートタイム労働者がいる場合は、子の看護等休暇の時間管理をあらかじめ決めておく必要があります。
特に、1日の所定労働時間が短い場合や、シフトによって勤務時間が変わる場合は、1日分をどうカウントするかが問題になります。
ここを曖昧にすると、残日数管理や給与計算で混乱しやすくなります。
Q 1日4時間勤務のパートでも、8時間で1日と数えるのですか。
一律に8時間で1日と数えるわけではありません。
1日の所定労働時間が固定されている場合は、その労働者の1日の所定労働時間数を1日分として扱います。
たとえば、1日4時間勤務の労働者であれば、4時間分を取得した時点で1日分として扱います。
Q シフトによって1日の労働時間が違う場合はどうしますか。
就業規則や運用ルールで、計算方法を決めておく必要があります。
日によって所定労働時間が異なる場合は、時間単位取得における1日分を何時間と扱うかについて、平均所定労働時間を基準にする方法が考えられます。
一方、1日単位で取得する場合は、その日の所定労働時間分を休んだことをもって、1日分として扱う整理になります。
Q なぜ先に決めておく必要があるのですか。
勤怠管理と給与計算に影響するからです。
子の看護等休暇は、1日単位でも時間単位でも取得できます。
短時間勤務者やシフト制労働者がいる場合、1日分のカウント方法を決めておかないと、残日数、控除時間、賞与計算などで処理がぶれます。
制度を就業規則に書くだけでなく、勤怠システムや給与計算の処理と合わせて整理しておく必要があります。
10 対象となる労働者と、除外できる労働者
子の看護等休暇は、正社員だけの制度ではありません。
小学校3年生修了までの子を養育していれば、パートタイム労働者、アルバイト、期間を定めて雇用される労働者も対象になり得ます。
一方で、日々雇用される労働者は対象外です。
また、今回の改正で特に注意したいのは、継続雇用期間6か月未満の労働者を除外できなくなったことです。
入社直後であっても、要件を満たせば子の看護等休暇の対象になります。
ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定がある場合に限り、申出を拒むことができます。
Q パート・アルバイトも対象になりますか。
対象になり得ます。
子の看護等休暇は、正社員だけの制度ではありません。
対象となる子を養育し、取得理由に該当すれば、パートタイム労働者やアルバイトも対象になります。
Q 日雇い労働者は対象ですか。
日々雇用される労働者は対象外です。
ただし、単に勤務日数が少ないことと、日々雇用であることは同じではありません。
契約実態に応じて判断する必要があります。
Q 入社したばかりの労働者や、試用期間中の労働者も対象になりますか。
対象になり得ます。
今回の改正により、継続雇用期間6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みは廃止されました。
そのため、入社直後であることや、試用期間中であることだけを理由に、子の看護等休暇を拒むことはできません。
「入社して間もないから」
「試用期間中だから」
「まだ半年経っていないから」
という扱いはできません。
Q 週1日勤務の労働者も対象になりますか。
対象となる可能性があります。
ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定がある場合に限り、申出を拒むことができます。
就業規則に書くだけでは足りず、労使協定で除外対象を定めておく必要があります。
Q 古い労使協定に「勤続6か月未満は除外」と残っている場合はどうしますか。
改正後の内容に合わせて見直す必要があります。
継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する仕組みは廃止されています。
そのため、古い労使協定にその記載が残っている場合は、削除または修正し、現在の制度に合う内容に整える必要があります。
11 労使協定で整理すべき事項
子の看護等休暇について、労使協定で整理すべき事項は主に2つです。
1つ目は、週の所定労働日数が2日以下の労働者を、子の看護等休暇の対象から除外するかどうかです。
この除外は、就業規則に書くだけでは足りません。
労使協定が必要です。
2つ目は、業務の性質上、時間単位での取得が困難と認められる業務を、時間単位取得の対象から除外するかどうかです。
ただし、除外できるかどうかは、「忙しいかどうか」ではなく、「業務の性質上、時間単位取得が客観的に困難かどうか」で判断します。
また、労使協定で除外できるのは、あくまで時間単位取得についてです。
子の看護等休暇そのものを取得できなくするものではありません。
Q 勤続6か月未満の労働者を労使協定で除外できますか。
できません。
今回の改正により、継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する仕組みは廃止されています。
そのため、古い労使協定に「継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する」という記載が残っている場合は、改正後の内容に合わせて見直す必要があります。
Q 週2日以下の労働者を除外するには、何が必要ですか。
労使協定が必要です。
週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定を締結している場合に限り、子の看護等休暇の申出を拒むことができます。
就業規則に「週2日以下の者は対象外」と書くだけでは足りません。
Q 時間単位取得が困難な業務とは、どのような業務ですか。
業務の性質上、時間単位で途中から抜けたり、途中から戻ったりすることが客観的に困難な業務です。
本来想定されるのは、業務の途中で交代することが性質上困難な業務や、同一担当者が連続して対応する必要が高い業務です。
単に「忙しい時間帯に担当している」というだけでは足りません。
Q 飲食店のピーク時間帯なら、時間単位取得の対象外にできますか。
「ピーク時間帯で忙しい」という理由だけでは、時間単位取得が困難な業務とは認められにくいと考えられます。
それは、業務の性質そのものというより、人員配置やシフト管理の問題と見られる可能性が高いからです。
また、一般的なホール業務やキッチン業務は、他のスタッフによる代替やシフト調整が可能な場合もあります。
そのため、「ピーク時間帯におけるホール業務」「ピーク時間帯におけるキッチン業務」といった大きな括りで、一律に時間単位取得の対象外とすることは慎重に考える必要があります。
Q 労使協定で時間単位取得の対象外にしたら、休暇そのものを拒めますか。
拒めません。
労使協定で除外できるのは、あくまで時間単位取得についてです。
子の看護等休暇そのものを取得できなくするものではありません。
時間単位取得の対象外となる業務であっても、1日単位での取得まで当然に拒めるわけではありません。
Q 時間単位取得が難しい場合、会社はどう対応すればよいですか。
制度利用を妨げる方向ではなく、実務上の調整を考えることが大切です。
たとえば、可能な範囲で事前調整を促す。
取得時間帯について話し合う。
シフト変更、半日単位、1日単位での取得を相談する。
このように、取得を前提に運用を整えることが現実的です。
労使協定で除外する場合も、時間単位取得が本当に困難な業務に限定し、それ以外は取得を前提に調整する形で整理しておくとよいです。
Q 労使協定は労働基準監督署へ届け出る必要がありますか。
届出は不要です。
ただし、適法な労働者代表との間で書面により締結し、事業場で保管しておく必要があります。
12 申出方法
子の看護等休暇は、原則として事前に申出を行います。
ただし、取得理由によって、事前に予定が分かるものと、突発的に発生するものがあります。
そのため、すべてを同じ申出ルールで扱うのではなく、予定できる取得と、急な取得を分けて整理しておくと運用しやすくなります。
Q 申出では何を明らかにすればよいですか。
主に、次の事項を明らかにします。
・労働者の氏名
・子の氏名
・子の生年月日
・取得日
・時間単位の場合は、開始時刻と終了時刻
・取得理由
取得理由としては、病気・けがの世話、予防接種、健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・入学式・卒園式への参加などがあります。
Q 申出は必ず事前でなければなりませんか。
原則として事前申出が想定されます。
ただし、子の急な病気や学級閉鎖など、事前申出が困難な場合もあります。
その場合は、当日の電話やチャット等による連絡を認め、事後に申出書を提出してもらう運用が現実的です。
Q 入学式や予防接種も、当日連絡でよいのですか。
必ずしもそうではありません。
入学式や予防接種のように日程が事前に分かるものについては、シフト作成前や日程判明後すみやかに申し出てもらうルールが考えられます。
一方で、発熱や学級閉鎖のように予測が難しいものは、当日連絡と事後申出書で対応する運用が現実的です。
13 証明書類の提出
会社は、取得理由を確認するため、証明書類の提出を求めることができます。
ただし、求める資料は必要最小限にとどめるべきです。
制度の適正利用を確認するための資料であって、労働者に過度な負担をかけるためのものではありません。
Q 証明書類を求めることはできますか。
できます。
ただし、必要最小限とする必要があります。
医師の診断書に限定せず、領収書、学校通知、式典案内などで足りる場合があります。
Q 毎回診断書を求めてもよいですか。
過度な負担となる可能性があります。
診断書は費用も手間もかかります。
必要最小限の確認資料で運用する方が望ましいです。
14 会社は申出を拒めるか
要件を満たす労働者から子の看護等休暇の申出があった場合、事業主は原則として拒むことはできません。
ただし、労使協定で除外された週の所定労働日数2日以下の労働者については、申出を拒むことができます。
また、時間単位取得について、業務の性質上取得が困難と認められる業務を労使協定で定めた場合、その業務に従事する労働者については、時間単位取得の対象外とすることができます。
ただし、これらはあくまで法令上認められた範囲での除外です。
Q シフトが決まっていることを理由に拒めますか。
原則として拒めません。
シフトが決まっている、忙しい、代替要員がいないという理由だけでは、要件を満たす申出を拒む理由にはなりません。
Q では会社は何も調整できないのですか。
調整自体は可能です。
取得時間帯の相談、シフト変更、半日単位や1日単位での取得の相談、代替要員の確保など、実務上の調整は考えられます。
ただし、制度利用そのものを妨げたり、法定の権利を一方的に拒んだりする運用は避ける必要があります。
15 賃金の取扱い
子の看護等休暇については、有給にするか無給にするかを就業規則や賃金規程で明確にしておく必要があります。
また、無給とすることと、欠勤と同じように不利益に扱うことは別です。
賃金の処理と、人事評価・契約更新・シフト付与などの取扱いは分けて整理しておく必要があります。
Q 子の看護等休暇は有給ですか。
法律上、有給とすることまでは義務付けられていません。
会社の規定により、有給とすることも無給とすることもできます。
無給とする場合は、就業規則または賃金規程に明記する必要があります。
Q 無給なら欠勤と同じ扱いでよいですか。
賃金を支払わないことと、欠勤として不利益に扱うことは別です。
無給と定めることは可能ですが、制度利用を理由に評価を下げたり、契約更新やシフトで不利に扱ったりすることは問題となります。
16 賞与計算・減額範囲・不利益取扱いの整理
賞与についても、賃金規程において出勤率や勤務実績を算定要素としている場合には、子の看護等休暇を取得した時間を賞与計算上考慮することがあり得ます。
たとえば、賞与算定期間中に子の看護等休暇を取得した時間がある場合、その時間を出勤率の計算に反映し、賞与額を調整することは考えられます。
ただし、ここで重要なのは、減額できる範囲です。
子の看護等休暇を無給とする場合でも、また賞与計算上考慮する場合でも、基本になるのは「実際に労働しなかった時間」に対応する範囲です。
つまり、実際に休んだ日数や時間数に応じて、日割り・時間割りで賃金や賞与を調整することは可能です。
一方で、実際に労働しなかった時間を超えて、大きく減額することは避けなければなりません。
子の看護等休暇は、法律上認められた休暇です。
そのため、取得したこと自体を理由に不利益に取り扱うことはできません。
ただし、「働かなかった時間分の賃金や賞与を支払わないこと」と、「制度を利用したことを理由に不利益を与えること」は分けて考える必要があります。
前者は、あらかじめ就業規則や賃金規程に定められていれば、ノーワーク・ノーペイの考え方に沿った処理として整理し得ます。
後者は、不利益取扱いとして問題になります。
不利益取扱いとして問題になり得るものには、たとえば次のようなものがあります。
・解雇すること
・降格させること
・不利益な配置転換を行うこと
・契約更新で不利に扱うこと
・シフトを減らすこと
・昇進・昇格の査定で、実際に休んだ時間以上に評価を下げること
・賞与について、実際の不就労時間に対応する額を超えて、罰則的に減額すること
したがって、賞与計算で子の看護等休暇を扱う場合には、次の点を整理しておく必要があります。
まず、子の看護等休暇を有給とするのか、無給とするのかを就業規則または賃金規程で明確にする。
次に、無給とする場合、どの賃金項目について、どのように控除するのかを定める。
時間単位取得がある場合は、時間単位での控除方法も明確にする。
さらに、賞与について出勤率や勤務実績を算定要素としている場合は、子の看護等休暇を取得した日数・時間数をどのように計算に反映するのかを賃金規程で定める。
その際、減額の範囲は、実際に労働しなかった日数・時間数に対応する範囲にとどめる必要があります。
単に「子の看護等休暇を取得したから評価を下げる」という処理にしてはいけません。
Q 賞与から差し引くことはできますか。
賃金規程で出勤率や勤務実績を賞与の算定要素としている場合は、子の看護等休暇を取得した日数や時間数を賞与計算に反映することは考えられます。
ただし、反映できるのは、実際に労働しなかった日数や時間数に対応する範囲です。
たとえば、賞与算定期間中に子の看護等休暇を取得した時間がある場合、その時間を出勤率や勤務実績の計算に反映し、賞与額を調整することは考えられます。
この取扱いは、賃金規程で明確にしておく必要があります。
Q 1時間休んだだけで賞与査定を大きく下げてもよいですか。
避けるべきです。
たとえば、次のような運用は、ペナルティ的な減額と見られるおそれがあります。
・1時間だけ子の看護等休暇を取得したことを理由に、賞与査定を大きく下げる
・数時間の取得を理由に、一律で賞与支給対象外とする
・取得した事実そのものをマイナス評価として扱う
賞与計算で考慮できるとしても、実際に労働しなかった時間に対応する範囲にとどめる必要があります。
Q 休暇を取ったことを理由にシフトを減らせますか。
できません。
子の看護等休暇を取得したことを理由とするシフト削減は、不利益取扱いと見られる可能性があります。
17 モデル条文
モデル条文を整理すると、次のようになります。
条文例
第〇条(子の看護等休暇)
小学校第3学年修了までの子を養育する社員(日々雇用される社員を除く)は、次に定める当該子の世話等のために、年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護等休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
一 負傷し、または疾病にかかった当該子の世話
二 当該子に予防接種または健康診断を受けさせること
三 感染症に伴う学級閉鎖等になった当該子の世話
四 当該子の入園式、入学式または卒園式への参加
前項の規定にかかわらず、会社は、労使協定によって除外された1週間の所定労働日数が2日以下の社員からの子の看護等休暇の申出を拒むことができる。
子の看護等休暇は、業務の性質上、時間単位での取得が困難と認められる業務として労使協定により別に定める業務に従事する社員を除き、時間単位で取得することができる。
時間単位の子の看護等休暇について、取得単位は1時間とする。
子の看護等休暇を取得することを希望する社員は、原則として事前に子の看護等休暇申出書を会社に提出することにより申し出るものとする。
会社は、子の看護等休暇申出書を受け取るにあたり、必要最小限の各種証明書の提出を求めることがある。
子の看護等休暇を取得した期間または時間については、賃金を支払わない。
条文例はここまでです。
ただし、モデル条文はあくまで出発点です。
Q モデル条文をそのまま使えば足りますか。
そのまま使える部分もありますが、会社ごとの調整が必要です。
特に、次の点は個別に検討する必要があります。
・短時間勤務者の1日換算
・中抜けを認めるかどうか
・証明書類の扱い
・賃金・賞与の計算方法
・卒業式を含めるかどうか
18 モデル条文に加えて個別検討すべきこと
モデル条文を確認したうえで、実務上は次の点を個別に検討する必要があります。
まず、取得理由の範囲です。
法定の取得理由としては、病気やけがの世話、予防接種・健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・入学式・卒園式への参加が中心です。
卒業式、授業参観、運動会、保護者会などを対象に含める場合は、会社独自の上乗せ制度として整理する必要があります。
次に、時間単位取得の管理です。
1日分を何時間として扱うのか、短時間勤務者やシフト制労働者についてどうカウントするのかを決めておく必要があります。
モデル条文そのものには、具体的な時間数までは書かれていないため、自社の勤務形態に合わせて、時間単位取得の管理方法を就業規則や運用ルールで明確にしておく必要があります。
また、中抜けを認めるかどうかも検討が必要です。
中抜けは法律上当然に義務付けられているものではありません。
ただし、運用上支障がなければ認めることで、労働者にとって使いやすい制度になります。
さらに、申出方法も整理しておく必要があります。
入園式、入学式、卒園式、予防接種、健康診断のように事前に日程が分かるものと、発熱、けが、感染症に伴う学級閉鎖等のように突発的に発生するものでは、同じ申出ルールにしない方が運用しやすくなります。
証明書類についても、診断書に限定せず、領収書、学校通知、式典案内など、必要最小限の資料で確認する運用が望ましいです。
最後に、賃金規程との整合性です。
子の看護等休暇を無給とする場合は、賃金規程で控除方法を明確にします。
賞与計算に反映する場合も、実際に労働しなかった日数や時間数に対応する範囲にとどめる必要があります。
Q 就業規則だけ直せばよいですか。
就業規則だけでは足りない場合があります。
週2日以下の労働者を除外する場合は、労使協定が必要です。
時間単位取得が困難な業務を除外する場合も、労使協定が必要です。
また、無給処理や賞与計算を行う場合は、賃金規程との整合性も必要になります。
就業規則、労使協定、賃金規程、申出書、勤怠管理の運用をセットで確認する必要があります。
Q 時間単位取得の場合、1日分は何時間として計算しますか。
一律に8時間などと決めるのではなく、各労働者の所定労働時間を基準に考えます。
1日の所定労働時間が固定されている労働者については、その労働者の1日の所定労働時間数を1日分として扱います。
たとえば、1日8時間勤務の労働者であれば8時間、1日4時間勤務の労働者であれば4時間が、1日分の基準になります。
日によって所定労働時間が異なる労働者については、1年間における1日平均所定労働時間数を基準にして、1日分を計算します。
このように、1日分を何時間とするかは、会社全体で一律に決めるのではなく、労働者ごとの契約内容や勤務実態に応じて整理する必要があります。
Q なぜ条文に「8時間をもって1日」と書かない方がよいのですか。
労働者ごとに、1日の所定労働時間が異なる場合があるからです。
正社員は1日8時間でも、パートタイム労働者は1日4時間ということがあります。
その場合に、全員について「8時間をもって1日」としてしまうと、1日4時間勤務の労働者について、実際の勤務実態と合わない管理になってしまいます。
たとえば、1日4時間勤務の労働者について8時間を1日分と扱うと、時間単位取得の管理上、実質的に本来の勤務日数より多く休めるような形になり、不公平や管理上の混乱が生じる可能性があります。
そのため、モデル条文そのものに具体的な時間数を入れるのではなく、各労働者の所定労働時間に応じて1日分を計算する形にしておく方が実務に合います。
Q そのほかに特に検討が必要な項目は何ですか。
次の点は、就業規則に条文を入れるだけで終わらせず、実際の運用まで確認しておきたい項目です。
・卒業式など、法定範囲を超える行事を対象に含めるか
・短時間勤務者の1日換算をどうするか
・シフトによって勤務時間が違う場合、どの時間数を基準にするか
・中抜けを認めるか
・予定が分かる取得と、突発的な取得で申出方法を分けるか
・証明書類をどこまで求めるか
・無給とする場合、賃金や賞与をどう計算するか
・週2日以下の労働者を労使協定で除外するか
・時間単位取得が困難な業務を労使協定で除外するか
モデル条文は制度の骨格を示すものですが、これらの点は会社ごとの勤務形態や勤怠管理に合わせて決める必要があります。
19 シフト制事業場で特に確認したいこと
パートタイム労働者やアルバイトが多い事業場、シフト制で勤務時間を管理している事業場では、子の看護等休暇の運用が複雑になりやすいです。
特に確認したいのは、申出ルールと勤怠管理です。
予定が分かる取得については、シフト作成前または日程が分かった後すみやかに申し出てもらう。
突発的な取得については、始業時刻前までの電話やチャット等による連絡を認め、事後に申出書を提出してもらう。
このように分けておくと、現場で判断しやすくなります。
また、短時間勤務者の1日換算、時間単位取得の管理、休憩時間をまたぐ場合の処理、中抜けを認めるかどうかも、あらかじめ決めておく必要があります。
週1日または週2日勤務の労働者が多い事業場では、週2日以下の労働者を労使協定で除外するかどうかも確認が必要です。
さらに、今回の改正により、入社直後の労働者も対象になり得ます。
採用時や入社時の説明、店長やシフト管理者への共有も重要になります。
Q シフト制事業場で先に決めるべきことは何ですか。
まずは、申出ルールと勤怠管理です。
特に、次の点を先に整理しておく必要があります。
・予定が分かる取得と、突発的な取得を分ける
・時間単位取得をどう管理するか決める
・短時間勤務者の1日換算を決める
・休憩時間をまたぐ場合の処理を決める
・中抜けを認めるかどうか決める
・週2日以下除外の労使協定を確認する
このあたりを先に整えておかないと、実際の申出があったときに現場判断になりやすくなります。
Q どこまで就業規則に書くべきですか。
基本ルールは就業規則に書き、細かい運用は申出書や社内マニュアルに分けるのが現実的です。
たとえば、対象者、取得理由、日数、時間単位取得、賃金の扱いは就業規則に書きます。
一方で、チャット連絡の方法、証明書類の具体例、シフト作成前の申出期限、勤怠システムでの入力方法などは、運用ルールとして整理する方法が考えられます。
Q シフト管理者には何を共有しておくべきですか。
現場で誤って申出を拒まないよう、基本ルールを共有しておく必要があります。
特に、子の看護等休暇は正社員だけの制度ではないこと。
入社直後の労働者も対象になり得ること。
週2日以下の労働者を除外するには労使協定が必要であること。
シフトが決まっている、忙しい、代替要員がいないという理由だけでは、要件を満たす申出を拒めないこと。
時間単位取得が難しい場合でも、休暇そのものを拒むのではなく、取得時間帯やシフト変更などを調整すること。
このあたりは、店長やシフト管理者に共有しておいた方がよいです。
Q 最低限確認しておきたい項目は何ですか。
少なくとも、次の点は確認しておくとよいです。
・対象となる子が小学校3年生修了までに広がったこと
・取得理由に、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園式・入学式・卒園式への参加が加わったこと
・学級閉鎖等は、子本人が感染していなくても対象になり得ること
・授業参観や運動会などは、当然に法定の対象となるわけではないこと
・継続雇用期間6か月未満の労働者を除外できなくなったこと
・週2日以下の労働者を除外するには労使協定が必要であること
・時間単位取得ができること
・1日分の時間数は、労働者ごとの所定労働時間を基準に整理すること
・中抜けは義務ではないが、会社が認めることは可能であること
・短時間勤務者やシフト制労働者の時間管理を決めておくこと
・証明書類は必要最小限にすること
・無給とする場合は、就業規則や賃金規程に明記しておくこと
・賞与減額は、実際に労働しなかった時間に対応する範囲にとどめること
・制度利用を理由とした不利益取扱いは禁止されること
・就業規則だけでなく、労使協定や賃金規程の見直しが必要になる場合があること
20 まとめ
子の看護等休暇の改正は、単に制度名が変わっただけではありません。
対象となる子は、小学校3年生修了までに広がりました。
取得理由には、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園式・入学式・卒園式への参加が追加されました。
日数は、対象となる子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日です。
時間単位での取得も可能です。
また、今回の改正では、継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する仕組みが廃止されています。
入社して間もない労働者であっても、要件を満たせば対象になります。
一方で、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定がある場合に限り、申出を拒むことができます。
この改正に対応するには、就業規則の文言を変えるだけでは足りません。
次のような運用面まで確認しておく必要があります。
・労使協定の見直し
・申出書や証明書類の整理
・賃金規程との整合性
・時間単位取得の管理
・短時間勤務者やシフト制労働者の1日換算
・休憩時間をまたぐ場合の処理
・中抜けを認めるかどうか
・賞与計算や不利益取扱いの整理
就業規則、労使協定、申出方法、勤怠管理まで先に整理しておくことで、労働者も会社も迷いにくくなります。
今回の改正をきっかけに、条文だけでなく、実際に運用できる形まで確認しておくことが重要です。
ご相談やお問い合わせは、画面右下のチャットもしくはお問い合わせフォームからお気軽にお送りください。




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